怪奇探偵小説名作選〈10〉香山滋集―魔境原人 ISBN:448003837X

 ゴジラの原作者としての名前だけは知っていたのですが、作品集という形で読んだのは初めてです。
 本書は秘境冒険家の人見十吉が世界中のジャングルや砂漠など、ある時は秘宝を求めて、またある時は新種の生物を求めて冒険する物語の作品集です。
 まあ、前にも少し書きましたが、人見十吉は日本人離れしてますね。直情的で癇癪持ちで、あるときは地元の原住民に対して横柄な態度を取るし、美人を見れば、すぐさま恋してしまい、すぐに秘宝のことを忘れてしまうし、決死の思いで脱出した場所が楽園のような場所であったために浮かれてしまってついつい置いてきた仲間のことを忘れてしまう、といったお茶目と言ってよいのか一本抜けていると言ってよいのか、よくわからない一面も持っています。
 やはり「お前はイタリア男か!」というツッコミが一番適しているように勝手に思っていますが、どうでしょうか? 長身でシャツから覗く胸毛の描写もありますし・・・。インディ・ジョーンズも似ているけど少し違うような。
 まあでも、秘境、冒険、秘宝、美女などのキーワードには惹かれるものがありますし、話自体は非常に面白いものばかりですね。上記のキーワードが少しでも引っかかる方なら十分にお奨めできると思います。
 冒険家、人見十吉の活躍を十二分に堪能できる一冊でした。