感想

田中啓文「中田いたり蹴」

水戸黄門的なアレとウルトラマン的なアレが面白かったような気がしないでもないです。でもやっぱり金かえせ。ンニャロ。

ロバート・J・ソウヤー「ゴールデン・フリース」

宇宙船の全てを管理するAIの視点から描かれたSF倒叙ミステリ。 AIイアソンが犯人かつ語り手という設定が面白いです。冒頭で乗組員の一人を事故に見せかけて殺害するのですが、宇宙船バサード・ラム・ジェットにおいては探偵役を生かすも殺すもイアソン次第と…

北山猛邦「アリス・ミラー城殺人事件」

探偵だらけのクローズドサークルっていうのはワクワクしますが、どうしても不自然な設定になってしまいますね。作者が物理トリックに対して愛着あるのだなということは伝わってきました。実際、バラバラ死体のところは面白かったです。 最後の方でまる投げは…

フレッド・カサック「殺人交叉点」

「殺人交叉点」 同じグループ内でひっついたのひっつかないだの何やらドロドロの愛憎渦巻くサスペンスのようで前半部分は少々退屈に感じましたが、後半になって話が急展開を見せてから面白くなります。どうなってしまうんだろう、とドキドキしながら読んでい…

岡嶋二人「クリスマス・イブ」

B級ホラー。そして、それ以上でもそれ以下でもなかったです。 読んでいるときは結構楽しかったかも……。

デイヴィッド・イーリイ「ヨットクラブ」

中には全くオチの意味がわからない作品もありましたが、皮肉たっぷりでニヤリとするような話や、最後にゾッとするような話などブラックユーモアたっぷりの短編集でした。 中篇の「タイムアウト」は核爆発により、イギリスとアイルランド全体の人間、建物およ…

シオドア・スタージョン「海を失った男」

なんだか読んでいていろいろと考えさせられました。 幻想的でぼんやりと夢を見ているような気分にさせられる作品から、観念的な難しい話など様々な話がありましたが、「成熟」や「そして私はおそれつのる」などは、自分の普段使わない頭をフル回転させて読ま…

田代裕彦「平井骸惚此中ニ有リ」

事件が起こるまでが長すぎることと、トリックがもう一つということは置いといて、とにかく講談調の文体とのことですが、地の文と会話文にギャップがありすぎて受け付けなかったです。

米澤穂信「愚者のエンドロール」

前作「氷菓」を読んでから1年以上経ってしまっていたので、前作の内容をほのめかす部分が少しわからなかったのですが、面白かったです。 この作者は本当に本格ミステリが好きなのだな、ということが文章の端々から滲み出ていて好印象です。一般人からすると…

乙一「ZOO」

「きみとボク派」の定義がよくわかりませんが、乙一の作品は「きみとボクの心の距離感」を描くのが上手いなー、といつも感心してしまいます。特殊な設定や装置を使って、きみとボクの心の距離を縮めたり、離したり、時には「あざと過ぎない?」と思う作品も…

清涼院流水「彩紋家事件 下巻」

ミステリ作家としては、やってはいけないことをやってしまっているのが頂けない。手品のネタバラシは奇術師になろうがなるまいがしたら駄目ですよ。これ泡坂妻夫が読んだら嘆くと思います。また、袋とじを開けてからの怒涛の展開、大説節に腹がよじれるほど…

島田荘司「ネジ式ザゼツキー」

最後に全てが引っくり返るタイプではなく、コツコツとパズルのピースをはめて全体図を構築するタイプのミステリでした。なかなか奇抜な作中作が現われて、それらが全て伏線になっている点も面白かったのですが、何故首がネジ式になっていたかという理由が面…

鯨統一郎「CANDY」

カラッポの頭で,酔いながら読みました。 ・・・・・・・・・・うん。読んだ。そして,意外と面白かったです。 名前とかギャグとかクスリとも笑う箇所が無くて面白かったです。 でもまだ酒が残っているので、ひょっとすると正常な判断ができないだけ、かもし…

戸梶圭太「さくらインテリーズ」

むむむ、面白かったといえば面白かったのですが、暴走しっぱなしで行き当たりばったりな感が強いです。今まで読んできた戸梶作品の中では、一番ハズレだったかも・・・。

西村寿行「滅びの笛」角川文庫

環境庁の職員、沖田克義は、異常な行動を取る鳥獣類、120年に一度の周期で大量の実を付けるといわれる笹などから、その笹が群生する中部地方でネズミが大発生することを予測する。ネズミ学の権威右川教授とともに調査するため現地へ赴くと、数万の群れをなし…

時雨沢恵一「キノの旅」

それぞれの話に込められた寓意をシンプルにしてわかりやすくしている、と取るか、青臭いと取るかで評価が変わりそうな気がします。牧歌的でありながら廃頽としている世界観は好きなんですが、完全無欠の冷めた主人公よりは熱血馬鹿の方が好きなもんであまり…

清涼院流水「彩紋家事件 上巻」

久しぶりの大説だけど「やっぱり俺は獣人のままでいいや」と思いました。

マックス・アフォード「魔法人形」

怪しい館、悪魔学の博士、死を予告する不気味な人形、とオカルティズム満載で怪しげな雰囲気の漂うミステリかと思いきや、まっとうな本格ミステリという印象です。ただ、それらの小道具が思ったほど怪しい雰囲気作りに活かされていない気もします。 本作に登…

「ひとりで夜読むな」角川ホラー文庫

・牧逸馬「ヤトラカン・サミ博士の椅子」 牧逸馬の作品は何だか論文を読んでいる気分にさせられる。本作も物語としての動きはほとんどなく、1929年にインドへ旅行した日本人観光客が立ち寄った喫茶店で、奇妙な形の車椅子に乗った老人と会うというだけの話で…

小林まこと「格闘探偵団」

小林まことの「格闘探偵団」が面白すぎます。ただ、プロレス漫画の「1,2の三四郎」シリーズを読んでいないと面白さは半減するような気もしますが。本作は、 プロレス界を干されていたプロレスラー東三四郎は、プロレス団体「ドリームプロレス」の自主興行を…

愛川晶「カレーライスは知っていた」光文社文庫

遅れてやってきた刑事が事件現場に残されたカレーを一口食べて犯人を当ててしまう、表題作「カレーライスは知っていた」や、なぜか左右バラバラの装飾品をつけて殺されていた死体の謎を解き明かす「だって冷え性なんだモン!」など、美少女探偵根津愛シリー…

赤江爆「ニジンスキーの手」

吐き気がした。 歌舞伎、バレエ、能とジャンルは違えど、その頂点を目指さんとする情熱と呼ぶには余りにも禍々しすぎる狂気に魅入られた男達の物語。どんな世界でもその頂きは正気では到底辿りつく事の出来ない場所にあるのかもしれない。だからその場所を目…

皆川博子「薔薇の血を流して」

異邦の地で数奇な運命に巻き込まれてゆく女性達の物語。皆川博子初期傑作集。 以前読んだ「鳥少年」に収録された「火焔樹の下で」のように、看護婦と女医の胸の内に秘められた、ある患者に対する燃え盛るような気持ちに、狂気とは紙一重の美しさを感じる、と…

森博嗣「人形式モナリザ」

改行が… 多すぎる… 森ミステリィは、 やっぱり苦手… どうでも良いが… Vシリーズの舞台が… 何だか20年前くらいな気がするのは… 気のせいだろうか…? そして、やっぱり… 連ちゃんに… 萌えるなり… (ココからは、俺の勝手な憶測に基づいた妄想なので無視して下…

皆川博子「鳥少年」

私の中に巣喰う狂気が、さまざまな夢を見させる―さらなる広がりと魅力を増した皆川博子の恐怖世界。 妖しくも美しい、十三の不思議な物語。 皆川博子の小説に出会えて良かった。 あまりにのめり込むとこちらの世界に返ってこられなくなるけれども。読んだ時…

赤江爆「夜叉の舌」

夢幻、霊魂、死、エロス……魔性の世界を耽美色豊かに描き上げた、赤江美学の集大成。 単行本未収録の秀作も収めた、自選恐怖小説集。 皆川博子の解説を読んで下さい、としか言えませんね。 本編もさることながら、解説にも魅了されるというのは初めてです。 …

都筑道夫「ちみどろ砂絵」

なめくじ長屋に住む面々、これはどれもこれも大道芸人だが、雨の降る日は外へ出て芸をする事が出来ぬために大の男が揃いも揃ってごろごろしている。そんなところから「なめくじ長屋」と呼ばれているが、長屋の面々が不思議な謎や事件を持ち込むと、砂絵描き…

浦賀和宏「記憶の果て」

浦賀和宏のメフィスト賞受賞のデビュー作。安藤直樹シリーズ第1作。 何となく素直になれない複雑な心境です。ムカツクけど好き、というか。青臭さが鼻につく、けどそれが良いというか。もうこれでお腹一杯、だけど続きが気になる、というか。やはりこの作者…

高橋克彦編「十の物語」

山田風太郎に都筑道夫に夢野久作など、名前を聞いただけで「これは読むしかないだろう!」と思わせる作家たちの恐い話を集めた短編集。 上記の作家の短編が読んだことが無いものばかりなので良かったのですが、兎にも角にも香山滋の「月ぞ悪魔」が素晴らしい…

森博嗣「黒猫の三角」

やはり森ミステリィは苦手だ。どうも個人的に合わない気がする。 本作だと、反則スレスレの場面があるが、その部分については他の有名な作品で前例があるけれども、(前例というか似たようなネタ)個人的にはやって欲しくなかった。メインでは無いから良いけ…