西澤保彦「笑う怪獣」

 「おバカ」と私は声を大にして言いたい。喜国雅彦の挿絵が内容とマッチしてます。
 一応、連作短編になっていますが、話ごとに関連するのは怪獣と登場人物くらいです。そして、怪獣の他に幽霊、宇宙人、改造人間などが登場しますが、それらは話をミステリにするために登場させているだけであり、最後に正体が明らかにされる、またなぜ主人公達の前に現れるかと言う謎が明かされる云々ということは無いです。作中でも登場人物が明言してますし。
 とりあえず、話単位でいうとマンションに監禁される話と別荘へ行く話が良かったでしょうか。おバカなミステリも好きですが、うーん、ちょっと中途半端な印象を受けてしまいました。それでも内容の重い話よりはこういった軽いノリの話の方が個人的には好みです。