元さん(id:h-moto)のアンケートが「あぁ辰巳四郎」になっていて、辰巳四郎の装丁で何が一番好きだったかな、とふと考えた時に清涼院流水のカーニバル・イブが一番に浮かんだわけだが、はたしてカーニバル・イブって辰巳四郎の装丁だったかしらん確認しなきゃ、と思ったらこの間のオフ会で誰かにあげてしまったので確認ができないため、うかつに投稿することができない。それで、アマゾンとかで調べても装丁やってる人を確認することはできないし、グーグルで「辰巳四郎 カーニバル・イブ 装丁」って検索してもどうやら違うっぽいけど、やっぱり違うってことなのだろうか、そうなんだろうな、と思いながらも実際どうなのだろう。
 そもそも僕がミステリにはまるきっかけになったのは、麻雀ばかりやっていて人生をあと少しで踏み外しそうになっていた3,4年前、ミステリのことなど全く知らないで時間つぶしに何か本でも読もうと思って本屋へ行き、何となく綾辻行人の「十角館の殺人」の装丁に惹かれたために読んでみたら、「こりゃスゲェ!」ってことになり、それで館シリーズを制覇して「さぁ次は何読もうか」と思って本屋へ行ったら作家多すぎ!本多すぎ!ってどれ読んだらいいのか全然わかんねぇよウワァアン!てことになりたまたま目の前に「メフィスト賞受賞作!ハサミ男!」って書いてある本が目に付いて「メフィスト賞?ミステリの賞?こいつはきっと凄いのだろう。とりあえず読んでみるか」ってことで手にとって「これならイケルぜ!」ということで、その次に手に取ったのが名前に惹かれてしまった清涼院御大の「コズミック」「ジョーカー」。それも文庫の方で「清」「涼」IN「流」「水」の順番で律儀に読んで「清」「流」を読んで4大ミステリとかノックスの十戒とかヴァンダインの二十則とかはじめて知って「ふむふむ、なるほど」と思いながら「スゲェ、こいつぁ、一体どうなっちまうんだ!」ってことで期待の上に期待を重ねて「涼」「水」を続けて読んだら、「え、どういうこと?ゴメン、意味わかんないんだけど……」ってことになり、モヤモヤしたものが胸に残ったまま今度は「カーニバルで全ての謎が解き明かされる!」ってどこかに書いてあったから「よし!読むしかない!」ってカーニバル3部作に手を出してカーニバル・イブのアナザージョーカー読むと「えっ、何コレ?」って話になり、「あれ?事件が起きてないけど、これはきっとカーニバルでは凄いことになるに違いない!間違いない!」と思ったわけだ。そしたらカーニバルではよくわからんけど「〜の順番で読むといいことあるぞッ!」みたいなことが書いてあって、やっぱり素直にその順番で読んだら「スゲェ!同時多発テロ同時多発テロだよ!ヤバイ!ヤバイ!超ヤバイ!カンバレ!ガンバレ!竜宮城之介超ガンバレ!」って感じになりカーニバル・デイに至っては「コズミック、ジョーカーに加えてカーニバルで起こった全ての謎が解明されるんだ!どうなっちまうんだ!誰かボスケテ!」とテンションは高まるだけ高まって心臓ドックンドックン、肺は超バックンバックンで「なんと孫六」風に言うと「おんどりゃあー!ぼけがー!」の境地であり「デカスロン」風に言うと「おんぎゃあああああ!」の境地で「カーニバル・デイを読んだのだ。



 しばらく放心したのち怒りが込み上げてきて訳も無く叫びたくなって3冊を床に積んで上から瓦割の要領で殴ってみたがやっぱり拳が痛くてそれが悔しくて悲しくて床に伏し、めそめそと泣きながら「でもこれがひょっとするとミステリというものなのだろうか?」と思い、「もっといろんな作家を読まなければ」という気持ちになった。
 今思うと、かつて無い読後感、確かに味わうことができたと思う。
 ……それからというもの、まだミステリのことを良く知らなかった僕は、「きっとどこかに答えがあるはずだ」という一心で、様々な作家の本を読むようになったのだが、今自分がミステリを読みつづけているのは綾辻行人清涼院流水のおかげであり、この二人はいろんな意味で特別な作家である。そして突き詰めると「十角館の殺人」の装丁がなければミステリにのめり込むことはなかったことになり、その装丁を手掛けた方が亡くなられたというのは残念でならない。