愛川晶「カレーライスは知っていた」光文社文庫

 遅れてやってきた刑事が事件現場に残されたカレーを一口食べて犯人を当ててしまう、表題作「カレーライスは知っていた」や、なぜか左右バラバラの装飾品をつけて殺されていた死体の謎を解き明かす「だって冷え性なんだモン!」など、美少女探偵根津愛シリーズ短編集。
 「カレーライスは知っていた」は、カレーのレシピが最初に出てくるのですが、なんとそのレシピにのっとってカレーを作ったら犯人がわかってしまうという凄い作品です。「だって冷え性なんだモン!」も題名こそバカバカしいですが、ロジックが美しくて素晴らしいです。
 根津愛シリーズを読むのは「夜宴」に続いて二作目で、相変わらず「そのロリータ趣味はどうなのだろう」と思う部分もありますし、実在する根津愛によるネコマンガも「正直どうかな」とは思いますが、推理する楽しみを十分味わうことができたという意味で非常に好印象です。結局、ほとんど自分の推理は外れてましたけど。
 「本格好きにはオススメしたい」と思った一冊でした。