フレッド・カサック「殺人交叉点」

「殺人交叉点」
 同じグループ内でひっついたのひっつかないだの何やらドロドロの愛憎渦巻くサスペンスのようで前半部分は少々退屈に感じましたが、後半になって話が急展開を見せてから面白くなります。どうなってしまうんだろう、とドキドキしながら読んでいたら最後の最後でそうくるか! とビックリしてしまいました。フランス語の原書を読めたらもっと楽しめるタイプの作品のようですが、翻訳でも十分楽しめました。
「連鎖反応」
 これもまた殺人交叉点と同様にドロドロした話かと思いきや、主人公の間抜けっぷりも手伝ってどんどんユーモラスな展開に。主人公の殺人の動機というのが中々面白いんですが、それより「殺人交叉点」にも登場したソメ警部に萌えです。フランス語のソメイユ(=眠い)という言葉のようにいつも眠そうな顔をしながらパイプを吹かせている人ですが、エドガー・アラン・ポーの話になるといきなり饒舌になってとんちんかんな推理を披露してしまうあたり、殊能将之の作品に登場する名探偵石動偽作を思い出してしまいました。
 ソメ警部萌えな一冊です。