感想
シェークスピアが日本に訪れており、マクベスや夏の世の夢といった戯曲が実は日本で起こったことを基に書かれていたという設定の伝奇ミステリ。 試みは凄いなー、と感心しながらも僕個人の意見ですが、今一つという印象が拭えなかったです。トリックもその時…
おおっ! こんなにちゃんと本格してるミステリ読むのは久しぶりだ。バカミスの範疇に入りそうだけど、コイツは面白かった。ページ数の割にすらっと読めてしまったのも久しぶりです。とにかくメインの謎が明らかにされたとき、思わずポカーンと口をあけてしま…
読みやすいし、面白かったです。けど、内輪向けだよなぁ。。。 本格好きの方に勧めてみたら、どういう反応が返ってくるのか興味あります。 「いいところもある。だけど、わるいところもある」って返されたらどうしよう。
「おバカ」と私は声を大にして言いたい。喜国雅彦の挿絵が内容とマッチしてます。 一応、連作短編になっていますが、話ごとに関連するのは怪獣と登場人物くらいです。そして、怪獣の他に幽霊、宇宙人、改造人間などが登場しますが、それらは話をミステリにす…
相変わらずスピード感とグルーブ感は最高です。 戸梶の何が好きかって、作品に登場するやくざと激安女が好きなんですよね。 本作だとアーミーおたくのやくざが大藪春彦の本のセリフに感化されて「おおっ、こいつは確かにカッコイイぜ!」とのたまったり、走…
仁科秘女自選歌集・夕潮―高校生のころ異色の閨秀歌人に非常な感銘を受けた鹿沼未知は、時を経て後ればせの新婚旅行に訪れた伊豆の島で、当の詠み人に巡りあう。心惹かれるままに、親友瑠璃子の謎めいた死や夫の不自然な素振りなど、島へ来てからの屈託を吐露…
・・・食事中の方は極力読むのを控えて下さい。 内容を説明するだけでもう、気分が悪くなる人が出てくるかもしれませんが、一応内容を説明しますと、 山陰地方の旧制中学で事件は起きた。寄宿舎・青雲寮の天井裏に「天国荘」と名づけた遊び部屋を作りたむろ…
ゴジラの原作者としての名前だけは知っていたのですが、作品集という形で読んだのは初めてです。 本書は秘境冒険家の人見十吉が世界中のジャングルや砂漠など、ある時は秘宝を求めて、またある時は新種の生物を求めて冒険する物語の作品集です。 まあ、前に…
以前、ちくま文庫の「久生十蘭集」の特に冒険ロマンものを気に入ったため、「すべての探偵小説を超えたスーパー都市迷宮小説!」と銘打たれた本書も「是非とも読みたい!」と思ったために買った一冊ですが、ストーリーは、 帝都東京、大晦日の深夜、滞日中の…
年のころは三十と四五、美男というほどではないが、凛とした風貌で、一見したところは浪人者なのだがなぜか"若さま"と呼ばれる!?と呼ばれているわりには行儀が悪く、居候を決め込んだ大川端の船宿『喜仙』の二階座敷の床柱を背に右立膝の左懐手、天下泰平…
切り裂きジャックに始まり、嘘一つで巨万の富を得る女詐欺師、浴槽で毎回違う花嫁を殺し、保険金を騙し取る男、変態異常性欲者。怪人、奇人、変態のオンパレードです。全ての話が第一次世界大戦の頃の話なのですが、主に話の焦点は「一体、何故このような犯…
ユニオン・クラブの談話室で三人のメンバーが雑談に花を咲かせていると、傍らで微睡んでいたグリズウォルドがやおら目を覚まし、奇想天外な挿話を語りだす。優れた洞察力で事の真相を見抜いたという自慢話に終始するのだが、聞いている三人には皆目見当がつ…
う〜ん。連作短編ものとして、「九つの殺人メルヘン」に比べるとイマイチかな・・・。 移動中の電車の中で読むのが最適、という言葉がそのまま当てはまるかと思います。人間が書けていない、という言葉はあまり使いたくないのですが、主人公の松本君はから回…
フランスのポオと呼ばれた短編の名手で恐怖と残酷、謎や意外性に満ち、ペーソスと人情味を湛える作品集。 ・・・とにかく素晴らしいです。後頭部が痺れるような、体がカーッと熱くなるような、上手く自分の言葉で表すことができないのですが、この作品集に寄…
何だか感想を書くのが難しいです。普通、作家の選集というのを読むとある程度は傾向と言いますか、レッテルではないのですが、こういう作風なんだな、というのがわかる気がするのですが、この作家は作風が非常に幅広いのだな、という印象を受けました。 「墓…
本書は幻想怪奇小説の短編が10本入っており、前半は海外実話風の小説、後半は日本怪談風の小説になっています。 海外実話篇を読んでいて思ったのですが、作者が貿易関係の仕事をしていたとはいえ、何でここまで海外の風景であったり、その国の風俗であったり…
「バルブ」と呼ばれる密閉された核シェルターの中で、科学者や医師や建築家など6人が様々なデータを取ることを目的として、何週間か共同で生活しようとするのですが、次々と殺人がおきて・・・という話です。盲目の天才科学者とそのアシスタントが実は両方…
感想・・・。文章にクセが無くて読みやすかったです。あと、主人公の優柔不断さはちょっと共感できましたかね。ファイトクラブは僕も観ましたが、面白かったです。ミステリ映画じゃメメントの方が好きですが。 大学の新歓みたいのは、活気があってうらやまし…
戦前作家の猟奇趣味、幻想趣味の小説というのは、江戸川乱歩や夢野久作しか知らなかった自分にとっては未知なるもの、得体の知れないものという印象しかありませんでした。 今回、この小説集を読んでみて、どの話も素晴らしいとは感じたのですが、前半の短編…
ドラゴンアッシュの登場やリップスライムのミリオンヒットなど、最近では日本でもヒップホップが大分認知されてきたように思えますが、ミステリ界にもラッパーが現われたか、という感じでしょうか。 「阿修羅ガール」で三島由紀夫賞を取った時の宮本輝と筒井…
A女学院の英語教師、ニシ・アズマ先生は小柄で目のパッチリした愛嬌のある顔立ちで午睡が趣味の可愛らしくて、どこかトボケた先生ですが、赤縁のロイド眼鏡をかけるとたちまち名探偵となり、日常の謎や事件をその鋭い観察眼で解決します。話の多くは殺人事件…
今日、ミステリ好きな方とお話する機会がありましたが、その中で、折原一の再評価という話が出ました。その中で、 「あくまでも書きたいことは違うけど、最後の方でちょっと叙述トリック使ってみました、という本が多い中、折原一のように叙述を制約としてい…
精力絶倫の快楽主義者・西大人は、八人の夫人と二人の美童を侍らせて、毎夜、酒池肉林ともいうべき法悦の宴をひらいていた。この屋敷で、第七婦人・宋恵蓮が両足を切断された無残な屍体で発見される。はたして誰が? 何のために――? 中国四大奇書の金瓶梅を…
山田風太郎の小説にでてくる人物って、いちいち格好が良いんだけど荊木歓喜先生にゃあホレちゃうね! モジャモジャ頭に大兵肥満、ち〇ばで足をがっくり、がっくり引きずってる上、頬にはでっかい三日月傷。おまけに、ダンサーや売春婦の産んじゃあならない子…
阿刀田高の本はホラーのような奇妙な話が好きで、図書館へ行くとたくさん置いてあったので、高校時代よく読んでいました。こういうジャンルを「奇妙な味」というのは最近知ったことですが。 阿刀田高は、そういった「奇妙な味」の本しか書いていないのではな…
自分は泡坂妻夫の本が大好きなんですが、その中でもこの「妖女のねむり」は長編の中では一番好きかも知れません。あくまでも今まで読んできた泡坂作品の中でではありますが。 読後に世界がひっくり返ってしまう「しあわせの書」も凄い作品だと思いましたが、…
ミステリ界のボブ・サップ。今や飛ぶ鳥を落とす勢いの戸梶圭太ですが、激安野郎ってフレーズは良いですね。 戸梶を初めて読んだとき「この世には安い動機の犯罪しかない」という言葉には目から鱗が落ちました。イロモノ扱いされがちな戸梶ですが、個人的には…
前に、「石の下の記録」を読んで大下宇陀児の「虚像」も読んでみたい! と思ったために買ってしまった一冊。 角田喜久雄の方はまだ全然、読んでないので大下宇陀児のみの感想になってしまいますが、個人的にベストは「情獄」です。主人公が犯した犯罪につい…